「私のカラーフィールド・ペインティングは、形而上学の思想に基づき、エネルギーが生み出す響きと波動を視覚化したものです。」
探求者としての視点
キャンディス・ウィルソン(Candace Wilson)は、自らを「探求者」と呼びます。この探求心は、彼女の人生そのものと作品に根付いています。ウィルソンのカラーフィールド・ペインティングは、形而上学の考えに基づき、エネルギーの響きや振動を視覚化したものです。それは観る者の体や心、さらには魂にまで働きかけるヒーリングアートとして高く評価されています。
彼女の創作の原点は、フランス・アンジェのエコール・デ・ボザールで学んだ学生時代にあります。一方で、アフリカやオマーンの砂漠、南極や北極の氷原を旅した経験は、彼女の創作に欠かせない視点を築くきっかけとなりました。これらの体験から生まれた作品は、鑑賞者の心に問いかけ、感性を揺さぶるものとなっています。抽象的なフォルムを活かすことで、ウィルソンは固定観念に縛られない自由な表現を追求しています。
制作の過程では、古代インドのチャクラ理論を取り入れた色の選び方や、宝石が持つ癒しの力を活用した量子ヒーリングの手法を駆使しています。これにより、視覚とエネルギーが調和し、観る者に深い安心感を与える作品に仕上がっています。ウィルソンの作品は世界各地でコレクションされ、とりわけ医療施設やリラクゼーションスペースで、スタッフや患者、訪問者に安らぎや癒しをもたらすものとして評価されています。
キャンディス・ウィルソン:創作を導くスピリチュアルの力
ウィルソンにとってアート制作は、深くスピリチュアルな没入のプロセスです。彼女は作品を「作る」のではなく、感情やエネルギーを十分に整えた状態から、それが自然に「湧き出る」のを待ちます。瞑想や自然の中を歩くことは、感情や思考を整え、心身の調和を保つための大切な日課となっています。こうして生み出される作品は、彼女自身の体験を映し出し、その瞬間に感じたエネルギーをそのまま表現しています。
アイスランドでのスキー旅行中に、山の妖精と交流したというエピソードは、彼女の創作における霊的な側面をよく表しています。アイスランドでは妖精の存在を信じる文化が根強くあり、こうした信仰が彼女の作品にも霊的な影響を与えたのです。スタジオでは、このような霊的な体験や感情を思い起こしながら、作品が自然に形になるのを静かに待ちます。描いた後の筆跡には一切手を加えず、それに宿るエネルギーの純粋さを守ることを信条としています。
ウィルソンのスタジオは、コンピュータなどの余計な道具を一切置かない、静寂を保つ特別な空間です。ここに入ることができるのは、彼女が招いた限られた人だけです。この空間は、彼女が作品と対話を重ね、制作が終わった後もそのつながりを深めるために欠かせない場所であり、彼女の信念と創作のプロセスを支える重要な拠点となっています。
素材の交響曲
ウィルソンが使う素材は、その創作プロセス同様に多彩で、常に変化に富んでいます。特に油絵具は、厚塗りの力強い表現から繊細な薄塗りまで対応でき、彼女の創作に欠かせない存在です。彼女はパレットナイフや手、ブラシの端など、さまざまな道具を駆使し、制作に独自のリズムと躍動感を加えています。エネルギーが特に高まる時には、パネルを使うことが多く、時にはキャンバスがその勢いに耐えられないこともあります。
アクリル絵具は紙の上での制作に適しており、流れるような質感やスピード感が魅力です。また、夏の間に取り組むエンカウスティック(蝋画)は、使用時の制約があるものの、彼女に新たな表現の可能性をもたらしています。
スタジオでは、キャンバスは金や紫の塗料で丁寧に下地が施されます。金は「神聖な意志」、紫は「愛」を象徴しており、そこに砂や宝石の粉末といった素材が組み合わされます。これらの素材は、完全なバランスを意味する「ゼロポイント」の状態を持ち、さらに神聖な音や言葉によってそのエネルギーが引き出されます。このプロセスを通じて、作品に配置するクリスタルの位置が導かれます。こうして完成した作品は、量子的なエネルギーを宿し、万物がつながっているというウィルソンの信念を具現化しています。
キャンディス・ウィルソン:未来を切り開くビジョナリー
ウィルソンは、スピリチュアルな感性をアートに込めたアーティストたちから影響を受けています。特に、マーク・ロスコ、フラ・アンジェリコ、ジャクソン・ポロック、レオナルド・ダ・ヴィンチといった巨匠たちの作品に心を動かされています。
彼女のビジョンのひとつは、商業施設や医療施設にヒーリングルームを設けることです。これらの空間では、色彩と振動を利用して人々の心身の健康を促進することが目的です。彼女のチャクラシリーズが病院で発揮した効果のように、休憩のひとときに癒しのエネルギーを感じられる場所を目指しています。また、馬を対象にしたヒーリングプロジェクトでは、動物が癒しのエネルギーにどのように反応するかを探求しました。この取り組みは、彼女のアートが動物にも癒しの力を発揮する可能性を示唆しています。
その中でも、カナダ北部のハイキング体験から生まれた「ザ・サミット」という作品は、ユーコンとアラスカの国境の原始的な美しさと厳しさを映し出し、彼女自身が克服した身体的・精神的挑戦を象徴しています。青い色調は喉のチャクラと共鳴し、コミュニケーションを表しています。また、アルミ箔やブルーカルサイト、アクアマリンなどの宝石が使用され、癒しの効果を高めています。「ザ・サミット」は、彼女が自身の体験を力強いヒーリングアートとして形にした象徴的な作品です。